病害虫発生予察特殊報(第1号)「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」についてお知らせします
2022年01月17日更新
【病害虫名】サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)
【病原菌】Diaporthe destruens (Harter) Hirooka,Minosh.& Rossman
【作物名】サツマイモ(かんしょ)
【特殊報の内容】 愛媛県における発生の初確認
1 発生経過
令和3年7月、松山市内のサツマイモ2圃場において、茎葉部の黄化や茎地際部の黒変症状を示す株が確認された。現地圃場で採取したサツマイモ茎葉を農研機構植物防疫研究部門に送付し診断を依頼した結果、本県では未発生のサツマイモ基腐病と同定された。これを受け、7月21日までに周辺圃場を調査した結果、同様の症状を示す被害は確認されていない。
2 国内の発生状況
平成30年に沖縄県で初めて確認され、その後、鹿児島県、宮崎県、熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県、岐阜県、群馬県、茨城県、東京都、千葉県、岩手県で発生が確認されている。
3 病徴
- 発病初期は圃場の一部で葉が赤変・黄変し生育不良となり(写真1)、株の基部が暗褐色~黒色に変色する(写真2)。病徴が進行すると茎葉の枯死や地下部に形成された塊根の腐敗が認められる。塊根の腐敗は主になり首側から腐敗する(写真3)。なお、収穫時に無病徴でも、収穫後の貯蔵中に腐敗することがある。
- 発病株には多数の柄子殻が形成され(写真4)、降雨等により内部から胞子が漏出する。胞子は、強風雨や圃場の停滞水により畝及び畝間に沿って拡散し、周辺株に感染する。
- 本菌の宿主植物はヒルガオ科植物のみで、罹病したサツモイモ塊根やつるで伝搬する。また、植物残渣上で越冬し、翌年の伝染源になる。
4 防除対策
- 植え付け前に土壌消毒を実施し、圃場内の排水対策を十分に行う。
- 購入した苗は苗消毒の実施有無を確認し、無消毒の場合には本病に登録のある農薬で苗消毒を行う。
- 採苗する場合には腐敗等のない健全な種芋を使用し、本病が発生した苗床では採苗しない。
- 圃場観察を定期的に行い、発病株は速やかに圃場外に持ち出し、適切に廃棄処分する。
- 発病株の除去前後には、周辺株への感染を予防するため薬剤散布を実施する。
- 発生圃場で使用した農機具や資材は、消毒や洗浄を十分に行う。
- 発生した圃場ではサツマイモの連作を避け、ヒルガオ科以外の植物を作付ける。
- 詳細な防除対策等は、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業の令和2年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照。
関連リンク
農研機構生研支援センター/令和2年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」
このページの情報発信元
担当部署:農業支援センター
愛南町城辺甲2420番地
電話番号:0895-72-7311
愛南町城辺甲2420番地
電話番号:0895-72-7311