令和4年(ワ)第108号 損害賠償請求事件について
2024年10月23日更新
太陽光発電事業に関する不許可処分による損害賠償請求事件については、事業関係者と和解が成立しましたので、報告します。
令和元年9月に事業者に対して設置の許可後、令和2年2月に町が事業を不許可とした小山地区における太陽光発電事業に係る不利益処分に関するもので、長期にわたり、事業関係者の皆さまをはじめ、町民の皆さまにも多大なご迷惑やご心配をおかけしましたこと、誠に申し訳なく心からお詫び申し上げます。
本件は、事業者からの聴聞を実施せず、また、指導や助言等も行わず、愛南町豊かな自然と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する条例に定めのない不許可処分を行ったことが不適法な行政処分であるとして、不服の申立てが行われたものであります。町はこの申し立てを受け、事実を確認し、誤りを認め、不許可処分の取消しを行いましたが、事業者は、町の不適法な行政処分により損害を被ったとして、令和4年4月に松山地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。
以降、13回にわたり裁判の中で審理を重ねてまいりましたが、今年6月に裁判所から和解案が提案されました。町といたしましては、受任弁護士の見解および本町が原告に提出した最終回答書の内容を考慮すると、この和解案に応じることが最善の判断であるとし、和解案を受け入れることについて、議会承認を受け、9月18日に和解が成立しました。
再発防止に向けましては、職員に対して関係法令や条例などの遵守、理解を深めるための職員研修を行う一方、愛南町職員コンプライアンス行動指針を策定し、職員に対しての行動基準等の周知徹底を図っており、今後二度とこのような事態を招くことのないよう職員一丸となって信頼回復に努めて参ります。
あらためて、事業関係者の皆さま、町民の皆さまに多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたこと、深く反省し、心からお詫び申し上げます。
愛南町長 清 水 雅 文
事件の経過
事業者は、小山地区において太陽光発電事業を行うため、令和元年9月、愛南町豊かな自然と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する条例に基づき、再生可能エネルギー発電事業審査依頼書を本町へ提出する |
同月、事業者は、太陽光発電事業の許可を得て設置事業を開始する |
令和2年1月下旬、小山地区から事業申請箇所の状況確認依頼があったことから、担当課職員が現地を確認する |
造成工事に伴う災害の恐れや生活環境への影響を理由に令和2年2月21日付けで事業者に対し、不許可処分を通知する |
令和2年9月2日、事業者は、この処分に関して、愛南町行政手続条例に基づく聴聞が実施されず、再エネ条例に基づく指導もなかったことは違法であるとし、町に不許可処分の取り消しを求める |
本町は、不許可の行政処分に対して法的根拠はなく、想定での判断であったことや処分の違法性を認め、令和2年9月25日付けで事業者に対し、不許可処分の取り消しを行う |
令和3年10月13日、事業者は不適法処分により損害を被ったとし、損害賠償を求め、松山簡易裁判所に調停申立書を提出する |
令和3年12月13日、第1回民事調停 |
令和4年1月31日、第2回民事調停(調停不成立) |
事業者は、令和4年4月4日付けで松山地方裁判所に訴訟提起する 【損害賠償請求の内容】 〇訴訟物の価格 17,024,281円及びこれに対する令和2年11月28日から支払済みまでの年5分の割合による金員 〇貼用印紙額74,000円 |
令和4年6月22日~令和6年3月13日 進行協議・弁論準備手続(計12回) |
令和6年5月14日、弁論準備手続の中で松山地方裁判所が和解を提案する |
9月議会定例会に和解に関する議案を上程し、令和6年9月13日、承認、可決される |
令和6年9月18日、原告と和解が成立する |
和解の内容
(1) 被告は、原告らに対し、別紙不動産目録記載の各土地を事業場所とする再生可能エネルギー発電事業ついて、被告が原告らに対して令和元年9月13日付け再生可能エネルギー発電事業審査結果通知書により許可を行った処分(愛環発第342号-1、同第344号-1、同第345号-1、同第346号-1)に対して、被告が令和2年2月21日付け再生可能エネルギー発電事業審査結果通知書(再)(愛環発第342号-2、同第344号-2、同第345号-2、同第346号-2)により不許可処分を行った行為は、被告が行政手続上の手続を適法に行わず、かつ、同通知書記載の不許可理由が当時も存在せず、また現在までも存在しない事実を認め、改めて謝罪する。
(2) 被告は、原告らに対し、前項記載の許可処分に関して、現時点で何ら問題が存在しないことを認める。
(3) 被告は、原告らに対し、本件解決金として、330万円の支払義務があることを認める。
(4) 被告は、原告らに対し、前項の金員を、令和6年10月18日限り、原告代理人指定の口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は被告の負担とする。
(5) 原告らは、その余の請求を放棄する。
(6) 原告らおよび被告は、原告らと被告との間には、本件に関し、この和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
(7) 訴訟費用は、各自の負担とする。
愛南町城辺甲2420番地
電話番号:0895-72-7316
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